瀉 

shit 

「こちらの厠は……」
 と、白石は清水屋のはばかりをほめた。
「いつも掃除が行きとどいていて気持ちがよい。召使いのしつけがよく出来ているせいでしょうな」
「いえ、厠の掃除はやつがれの女房がいたします」
 と清水屋は言い、お気に入りましたらどうぞたびたびお使いくださいましと笑った。

(「市塵藤沢周平


瀉(下痢)に悩まされる新井白石が民家のトイレを拝借。まったく身につまされる話だが、清潔なところをちゃんと褒めてるところが小ツボ。


あなたのワンクリックが、書き手のやる気につながります → にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

何ひとつまなばない 

drunk 

「酔っぱらいは何ひとつ学ばない。酔っぱらいはただずるずると崩壊していくだけさ。その崩壊の過程のある部分は、なかなか愉快なものだ」、彼はもう一口酒を飲んだ。それでグラスはおおかた空になった。「しかしそれ以外の部分はとんでもなくおぞましいものだ」

(「ロング・グッドバイレイモンド・チャンドラー 村上春樹/訳)


酔っぱらいを素描するとこんな感じだろう。もう酔っぱらいってのは善とか悪とかじゃないんだよね。


あなたのワンクリックが、書き手のやる気につながります → にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

スクール・カラー 

cigar 

「これがうちのスクール・カラーなんだよ。当組織の精神を表している。ああ、グレーじゃないものも少しはあるよ」
彼は机の抽斗をあけ、二十センチほどの長さの葉巻を一本取り出した。

(「ロング・グッドバイレイモンド・チャンドラー 村上春樹/訳)


グレーの捉えられ方が日米で違うと思うけど、なんともおかしい。


あなたのワンクリックが、書き手のやる気につながります → にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

おおむね 

joan 

「彼は三十七歳で結婚したわけですね。女というものがおおむねわかっている歳です。おおむねというのは、女というもののすべてを知ることは誰にもできないからです」

(「ロング・グッドバイレイモンド・チャンドラー 村上春樹/訳)


こんなセリフを、女と差し向かいで言えるのは、胡散臭い美容師とフィリップ・マーロウくらい。


あなたのワンクリックが、書き手のやる気につながります → にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

鳩尾 

muscle 

「私は思うのですが、生命を有している文章は、だいたいはみぞおちで書かれています」

(「ロング・グッドバイレイモンド・チャンドラー 村上春樹/訳)


これはあとがきからの引用。チャンドラーの言葉を村上が訳したもの。俺はみぞおち文章書けてねえなぁ。


あなたのワンクリックが、書き手のやる気につながります → にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ